Zero mission

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そこは「レイヤード」と呼ばれている。複数のセクションというブロック化された施設からなる、「世界」だ。 レイヤードは地下に存在している。見たことはないが遥か上には「地上」があり、聞く話によれば地上は人の住める環境では無いとの事。 また、レイヤードは管理者なる存在が管理している。オレは管理者についてはよく知らない。オレが産まれた頃にはもうあったし、管理者に関する情報はあまり公開されてはいない。 今更言わなくてもいいと思うが、管理者は人ではない。要するに昔の人が造った高性能コンピュータだ。 レイヤードの人間は管理者によって管理される。おかげで生きていく事が出来ているし、皆はそれを当たり前だと思っている。当然オレもだ。 どうでもよいが、管理者はころころと1日の長さ等、日のバランスを変えてきたらしい。コンピュータがする事。なにかしらの意味があるのだろうが、とりあえずオレには無意味に思えてしまう。ほとんどの人間が同じ考えの筈だ。昔は暦がレイヤード暦であったが、今は変わり地球暦の0187年。 去年からある噂話が流れている。どうやら地上の環境が回復しているらしい、というものだ。一般に流れている情報だ、到底信用出来ないが。 噂が流れた同じ年、その情報を信じる組織「ユニオン」が生まれた。誕生したばかりは管理者と対等に対話が出来ていたらしい。どういう経緯かは知らないが現在は武装組織と化して管理者と争っているようだ。 オレとは一切の関係が無いため、管理者に手を出している事からテロリストにしか見えない。が、実際のほどはどうなのだろうか。 オレには夢があった。アーマードコアを駆る傭兵、レイヴンになる事だ。 オレは家族と呼べるものがいない。物心ついた時から独りで、施設にいた。特に不自由も無いし、不満も無かった。 だからこそ、もっと刺激のある生活をしてみたくなったのか。正直自分でも理由は良く解らない。 さっきは夢があったと言ったが別に諦めた訳ではない。むしろその逆だ。今日はレイヴン試験。初期型のACを受領し武装勢力を殲滅する。合格すれば晴れてレイヴン、夢の達成は目前というわけだ。だが失格すれば…それは土に還る事を意味している。
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