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騒がしいやり取りが聞こえる中、両目を覆う近藤さんの手を軽く叩く。
「近藤さん、私は大丈夫ですから。」
「い、いや。
秋山さんはあんまり見ない方が……。」
大丈夫と言っても尚、躊躇う声。
近藤さんは私に見せたくはないんだろう。
恐らく、複数の亡骸が倒れるさまを。
見たいか、見たくないかで選択すれば見たくないのが本心。
でも新撰組に身を置いてる以上は仕方ないから。
「土方さんが1人殺ったのは見ちゃったし、今更ですよ。
池田屋でも見ましたし。」
軽く叩くのを止めて、ゆっくりと近藤さんの手を外し視界を開けさせる。
「………秋山さん。」
「………容赦ないですね沖田さんは。」
積み重なれる紅い亡骸。
あの短時間で殺るのは、さすがと言うべきなんだろう。
「容赦なくてどうするのさ。
近藤さんの所にも御陵衛士が襲って来たから片付けたのに、土方さんは1人倒しただけだったんだから。」
「悪かったな。」
近藤さんと私の会話に合流する沖田さんと土方さん。
沖田さんは別に動いていた御陵衛士を始末してから近藤さんとここまで来たらしい。
「………で、本題。
もう1人居るよ御陵衛士。」
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