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今回の意味における雇用と同じような言葉として、依頼という言葉がある。
意味は同じだ。能力のある人間に、対価を差し出すことで依頼主が仕事を頼むこと。
これも同じだ。対価によって成り立つ取引。どちらにも、「頼る側」と「頼られる側」のどちらにも有益な取引。
良いだろう。人間のエゴイズムを利用した、なんとも合理的で理に適った無駄のないシステムだ。
しかしそれは、あくまで「対価がある場合」だ。
不思議なことに、雇用、依頼といった正式な取引ではない場合にも、「頼む側」と「頼られる側」が形作られる事がある。
それは、知人の間で行われる口約束。
いわゆる、ただのお願いである。
先程から何度もしつこく記述していることから分かってもらえるかもしれないが、お願いという行為は頼る側にメリットはあれど、頼られる側には余計なことだけしかない。
知人であるという繋がり。たったそれだけで、無報酬で仕事を押し付ける行為に他ならない。
そんなことが起こりえるのだろうか。
起こり得なければそんな言葉は作られない。
遠回しに言わなければ、結論としては起こり得る。
何でそんな損しかない取引が成り立つのか。
それは、頼られる側が危険を回避するためである。
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