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「海だーーーーーー!!!」
突如として走り出したルーさんとローレンが、そこについた途端にジャンプしながら清々しいほどの笑顔で叫んだのは、そんな言葉だった。
「………………………」
さすがにドン引きである。
いかに日頃からテンション高すぎるルーさん達と言えど、それはさすがにドン引きである。
「ほら健介ーー!せっかくの海なのにテンション低いよーー!」
あなた方が高すぎるだけですよー。
叫ぶ元気もなく、そもそも俺のテンションで口に出しても仕方ないので、敢えてスルーしておこう。
さて、緊張の色もさらさらなく俺を置き去りに話を進めるハイテンションシンドローム(超高揚症候群)な2人に代わって、説明的に、現在の状況を解説することにしようか。
俺の名前は斧塚健介。とある一件で、そこでテンション高く楽しんでいる人に命を救われ、流れのままに流されて世界中を飛び回っていたこの人の世界の旅に同行させてもらうことになった───人間ではない者だ。
人間ではない者、つまりは俺は、妖怪みたいなものと同じ、異端者である。
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