プロローグ10

10/19
前へ
/1954ページ
次へ
大抵の者が、デリフィスより年上である。 ダネットはなんとも思わなかったが、まだ若いデリフィスを侮り、反発する者が何人もいた。 彼らに対して、デリフィスはおもねることはなかった。 武器を持たせ、打ち掛からせる。 一人ずつではなく、五人、十人を同時に相手にする。 何人もの大人を圧倒する姿に、ダネットは感心した。 弾みで自分の部下を斬り殺すこともあるが、デリフィスは平然としていた。 力こそ全て、と言っているように感じられた。 戦場では、確かにそうなのだ。 勝つこと、そして生き残ることこそが正義であり、それに必要なのは、なによりも力である。 戦場では、弱さは罪でさえもあった。 弱ければ死ぬ。 死は絶対であり、仕方ないの一言で済まされる。 そして、死んだ者は土に還るか、獣の餌になる。
/1954ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6557人が本棚に入れています
本棚に追加