プロローグ10

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ザッファー王国とラグマ王国の、国境を巡る争いの中でのことだった。 ザッファー政府に雇われた傭兵団は、前線で戦った。 それなりの戦果は上げただろう。 だが、団長が死んだ。 普通ならば、傭兵団はそれで終わりである。 デリフィスがいなければ、終わっていただろう。 デリフィスが新たな団長となり、傭兵団を率いることになった。 本人は嫌がったが、他に務まる者はいない。 剣術、馬術、そして戦術眼。 全てにおいて、一千の傭兵たちの中でデリフィスがもっとも優れていた。 デリフィスが指揮を執るようになり、傭兵団は更に強くなった。 五千を超えるラグマ軍を打ち負かし、追い回すことも度々だった。 デリフィスが新団長となり数日後、停戦の条約が結ばれ戦争は終わった。 そして、デリフィスは傭兵団を去った。 ラグマ王国に行く、とだけは聞いた。
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