プロローグ10

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テラント・エセンツが目的なのだろう、とダネットは思った。 ラグマの将軍であり、戦場において唯一、デリフィスと互角に剣を合わせた男。 止めようとする者はいたが、誰も止められなかった。 ダネットは、止めなかった。 停戦となった今は、戦場で会うこともない。 一人の強敵のために一千の部下と別れられる。 勝手ではあるが、如何にもデリフィスだった。 デリフィスが去った後、間もなくして傭兵団は瓦解した。 デリフィスは、傭兵団という限られた範囲の中ではあったが、言わば絶対の王だった。 それも暴君である。 デリフィスの後に傭兵団を纏められる者はいなかった。 傭兵たちは散り散りになり、ダネットもザッファー王国を離れることにした。 行き先は、ズターエ王国。 ただの気紛れであるが、強いて理由を上げるとしたら、母方の祖父がズターエ人だからだろう。
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