プロローグ10

14/19
前へ
/1954ページ
次へ
といっても、なにか当てがある訳ではない。 ズターエ王国で適当に職を探し、警官募集の広告をたまたま眼にし、冷やかし半分で応募し、ノリで試験を受けた。 結果は、合格。 さすがに、これには驚いた。 二十年ほど前に、当時将軍位にあったサバラ・ブルエスは、『魔王』ミド・アラエルから王位を奪っている。 サバラ・ブルエスはそれまでの王家の血を引いておらず、そのため反発する勢力がズターエ国内にいくつもあった。 その対応のための軍人や警官が不足している、ということなのだろう。 時期によっては、誰彼構わず合格にしていたようだ。 警官となったダネットは、一応真面目に仕事をした。 堅苦しい仕事である。 やがて飽きてしまい辞めることになるのは、わかっていた。 それまでは、稼げるだけ稼いでおくか、という気分だった。
/1954ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6557人が本棚に入れています
本棚に追加