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「……またか」
額を押さえ、ザイアムは呻いた。
また、同じ夢を見させられた。
薄汚い寝台から身を起こし、枕元に置いていた『ダインスレイフ』に手を伸ばす。
『魂喰い』などという別称があるが、『ダインスレイフ』に自分の魂を喰われているのか、ザイアムにはよくわからなかった。
『ダインスレイフ』のせいでザイアムは無気力になったという者もいるが、所持する前から、なにをするにしても気怠さを感じていた。
『知ある魔剣』とも呼ばれているが、人語を話したりなどしない。
ただ、夢を見るようになった。
『ダインスレイフ』が、なにかを伝えたいのだろうか。
夢の中に、二人出てくる。
そして、会話をしている。
それはきっと、過去に交わされた会話。
遠い遠い昔の出来事。
ザイアムは、宿を出た。
支払いを求められることはない。
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