プロローグ10

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ダネットは、若い頃から力任せに暴れるのが好きだった。 体格に恵まれ、同年代の者より一回り体が大きい。 殴り合いをして負けることは、ほとんどなかった。 ザッファー王国は、戦争が多い国である。 北にリーザイ、南にラグマの両国があり、国内では民族間の紛争が絶えない。 あちこちで、戦える者が求められていた。 十代半ば頃から、ダネットは傭兵として生きた。 もっと一般的な職に就くことも、軍人として国に仕えることも可能だっただろうが、ダネットは傭兵になる道を選んだ。 それが、もっとも自分の性に合っていると思えた。 しばらく気儘に一人で活動していたが、ある日、傭兵の軍を率いているという者に誘われた。 一千ほどの傭兵たちが集まることによりできた、集団である。 軍隊のように指揮官の指示に従い戦い、だが軍隊のような規律に縛られない傭兵の部隊。
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