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「あれ、動かないって事はてっきり
飲みたいってことなのかと……」
やはり無駄だったようで、
やっとカップはどかしてくれたものの
紅茶の入った温かそうなカップを
彼はこちらに突き出す。
「違う」
「うーん、やっぱり更年期なのかなあ」
思わずカップをまた弾き飛ばしかけた。
さすがに飲み物をこぼすのは……。
「勿体無……。……!」
『ひな』
母さんの声が蘇る。
『食べ物を粗末にしたらいけないのよ』
母さんが、言ったことだ。
母さんが、考えたことで……
私の考えたことじゃない。
「…………っ」
また、眉間にしわが寄る。
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