2人が本棚に入れています
本棚に追加
「…………じゃあ、『アリス』」
「……えっ?」
いやな予感がした。
「君は、『アリス・リデル』ってことで」
「は……?」
「あだ名みたいなものだよ、『アリス』。
僕はただ君と話したいだけだし、
君は名前を言いたくないようだから」
奴はそう笑って
また、いつの間にか現れたカップに
紅茶を注ぐ。
「やめてよ……そういうの」
半ば呆れながら言う。
今更だが、なんでこいつは
私の前に回り込んでいるんだろう。
確か私は背中を向けていたはず……。
「じゃあ『リデル』ちゃん。
ははは、とりあえず流されておくれよ」
奴はとても楽しそうだ……首を
絞めたくなるほど。
ああもう、イライラする!
「……私は『リデル』なんかじゃない!」
私の
何度目かの大声に、奴は目を見開いた。
最初のコメントを投稿しよう!