いけ好かない 変人

13/18
前へ
/24ページ
次へ
  「……君、いいの?」 奴のその一言とほぼ同時に、 何かが引きちぎられたような音が響いた。 「な、何なの今の……? ぶちっ、って言わなかっ…………って」 咄嗟に上げた顔を奴に戻すと つまらなそうにカップを持ち上げ 「あーあ」と呟いていた。 「ねえ、何が起きたの? 今!」 「何、って……つまらないことだよ」 「つまらない、って…… はぐらかさないでよ。私、これ以上は 厄介なことになりたくないのに……」 本当につまらなそうに 「そう、ぼやかれてもねえ」と奴は言った。 それからカップを(多分)地面に置き、 再び口を開いた。 「名前が逃げ出してしまったんだから、 仕方ない」 「な、名前……? 何言ってるの……? 私には名前くらいちゃんと」 「そうじゃない」と言って奴は頭を掻く。  
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加