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「そうじゃない……?」
詰め寄りながらオウム返しする私に
もったいぶった口調で奴が言う。
「『リデル』が逃げ出してしまった」
「……はい?」
「だから多分、
今の君は自分を『アリス』とは言えても
『リデル』とは言えないはずだよ」
「……いやいや、
私は別に困らないんですけど……」
だって本名じゃないし……。
こいつが勝手に呼んだだけだし……。
呆れ顔の私に奴は
「ええ?
じゃあ君、ずっと此処にいるつもり?
『ここで得た名前』をきちんと返さなきゃ
帰れないよ?」
「……」
「…………」
「………………」
「…………君、聞いてる?」
「……っ」
「……おーい」
「…………は」
「?」
「はあああぁあぁあっ!?」
「うるさいよ耳に響くよ!!」
大袈裟に耳を塞ぎうずくまっている男に、
構わず叫び続ける。
「何それ何それ何それ何それっ!
そんな狂った話がある!?」
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