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怒りが収まらない私は
奴の肩を掴みにかかるがそれでも
奴は相変わらず「くだらない」、
と言いたげな顔でしゃがんでいる。
「狂ったも何も……あだ名は仮の名、
『仮』は『借り』に通ずるものだから
『借り』ものは普通返すだろう?
だから
『借り』た名前は返すのがルール……」
「何がルールよ!
借りたとか……勝手にあんたが
あだ名つけただけじゃない!」
「仕方ないだろう……此処は、
そういう所なんだよ……諦めたまえ」
「仕方ない……?」
“仕方ないでしょう、ひな!”
母の声を感じたような、錯覚。
「そう。諦めたほうがマシさ」
“諦めなさい。貴女には、無理よ。
だって貴女は───”
やめてよ……っ
私は諦めたりなんかしない!!!
「諦めたりなんかできるわけ───!」
目をつぶり、
頭の中の幻影をかき消すためにも
声を張り上げようとした私に
別の声が響く。
「だいたい、何でそんなに必死なんだ?」
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