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その時だった。
頬に生暖かい感触が伝わってきたのである。
指先で頬に触れてみると、正体は涙だった。
どうやら自然に涙が頬を伝って流れ落ちているようで、瑠威は少しだけ動揺した。
懐かしいのか、それとも切ないのか。
彼の歌う姿を見つめながら、再び十六年前の記憶の扉を開けていく。
十六年前、あの頃の自分は本当に若かった。
ただ、信じていればいいと思っていた純粋無垢な気持ち。
それは今も尚、色褪せることはなかった。
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