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毎日が充実していた日々なのに、そんな彼を悩ませていたのは誠一である。
無料の電話ツールで毎日のように会話しているものの、はっきり言って迷惑だ。
一人になりたいのに慣れなくて、さすがに瑠威が『いい加減にしろ!』と怒ると、プツリと連絡が来なくなる。
ホッとしたのも束の間で、二度目の海外ツアーも成功させた誠一は、大介から長期休暇を無理やりもぎ取ると、ここぞとばかりに瑠威のいるアメリカへ向かったのだ。
突然の来訪に、瑠威も驚きを隠せなかったものの、押しかけ女房じみた彼の行動が逆に彼の逆鱗に触れてしまい、毎日が喧嘩の日々へと化してしまった。
仕事中でもメールや電話のオンパレードで仕事にならない。
その度に『日本に帰れよ!』と怒っているのだが、誠一は頑として帰らなかった。
誠一の言い分は『何で遠距離恋愛をしなくちゃいけないんだ!せっかく、両思いになったのに!』である。
それに対して瑠威は『仕事なんだから仕方ないだろ!』と怒り、携帯電話の電源を切って仕事をすることに。
唯一の救いは、仕事用の携帯を葵から支給されたことだ。
仕事はスムーズにいくものの、部屋に帰ると誠一が待ち構えていた。
おかげで休んだ気にならず、とうとう瑠威は誠一を自分の部屋から追い出したのだ。
追い出した際、瑠威は誠一に向かってこう言い放った。
『俺の傍にいたいなら、俺と対等な位置に立てる男になれ!』
この発言がまずかった。
売り言葉に買い言葉の如く、誠一はダッシュで日本に戻ると四週連続で新曲を出したのである。
作曲担当の蓮次は『お前はバカだろ!』と泣きながら、曲を書き続けたという。
もちろん、全てがオリコンチャートの上位を占め話題を独占し、話題の人に。
音楽番組では瑠威とお揃いのプラチナのリングを左の薬指に着けて出演したことが発覚し、ファンの間で大騒動になると翌日以降に発売された週刊誌やスポーツ新聞の一面には、指輪を着けている誠一の写真が掲載され、一気に熱愛報道が勃発。
マスコミの前で誠一は『可愛い恋人がいますよ。』と熱愛宣言をしたため、真由子と大介他、事務所のスタッフ全員が電話対応に追われている始末。
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