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Rougeとは、十七年前にデビューをした人気沸騰中のロックバンドである。
ヴォーカルと作詞担当のセイイチを筆頭に、作曲とギターとベース担当のレンジ、ドラム担当のトウヤとギター担当のショウヘイの四人組で構成されている。
セイイチ以外が既婚者で、メンバーが結婚を発表した時は泣き出すファンが多かったのは瑠威の中での記憶では真新しい。
十六年前に海外デビューを大成功で収め、日本に凱旋帰国した彼らの活動は音楽だけではなく、コマーシャルや音楽番組、バラエティーやドラマのゲスト出演など多くのマスメディアに出ては話題を独り占めにしている。
本業の音楽活動でもそれは変わらず、彼らが出す曲は発売される大ヒットを飛ばし、有線リクエストやオリコンチャートでは常に一位をキープし続けている。
ライブやツアーが始まると、チケットは発売日当日に完売するなど、何かと話題のアーティストだ。
今話題のロックバンド『Rouge』に対して、瑠威は余り良い印象を持っていない。
いや、関わりたくないと強く願っていた。
出版関連の仕事をすれば、いずれは彼らに関わってくるだろうと思っていた矢先に、和敏の要望で今の部署に配属移動された時は心底、仕事を辞めようかと考えていた。
それでも『過去から逃げたくない!』という思いで、瑠威は留まっている。
忘れたいのに忘れられない。
無理に忘れようとはしないつもりだが、やはり今みたいに彼らの歌を聞いてしまうと体中が拒絶反応を起こしてしまう。
(改善されたと思ったんだけどな・・・。)
苦笑いをしながらパソコンと睨めっこしているところへ、デスクの上に置いてある携帯電話のバイブが鳴った。
(誰だ?)
不思議に思いながら携帯電話を手に取り、画面を開いて確認をする。
画面には『新着メール一件』と表示されており、キー操作をしてメールを開くと瑠威は目を大きくした。
『瑠威へ。今夜十時にいつものホテルで。』
(久須美さんか。俺も欲求不満だったし、いいかな。)
フッと笑いながら瑠威は『了解。』と打つと返信した。
週に一度、瑠威は和敏とセックスをして欲求不満やストレスを発散している。
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