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「…クソッ!取られて…堪るかァァ!!」
キキッと体育館に響く小気味良い音を鳴らし、髪がボサボサで大きな体格の男は敵側のタックルを身を捻ってかわし敵陣を突破する。
手にはバスケットボールを持ちダンダンと床に打ちすえ走り抜ける。
「…ちッ。また居たか…」
小さく舌打ちして男はボールを持ち急に立ち止まる。
リングが直ぐ目の前にあるがそれを遮るように赤い服を来た男が立ちはだかる。
赤い服は敵側…。
ボサボサ男は青い服を着ていた。
味方の仲間を探し周りを見るが近場には誰も居ず。
唯一近い“ヤツ”も敵二人のマークが掛かっていた。
だが“ヤツ”はやる気が無いのか?
ただの通行人の様にボサボサ男をボ~っと見ていた。
さて、『マークする必要はあるのだろうか?』
そんな頼りない仲間を見て、ボサボサ男はちょっぴり思ってしまう。
「余裕か?…そうはさせるかよッ!」
考えてる内に目前の敵側が動いた。
だが、ボサボサ男はさほど驚いて居ない。
両手をサッと左側へ流す。
「ボール貰った!!」
っと敵側はボサボサ男の懐らへんで取り合う手が空をきる。
「はぁ!?」
赤い服の男は当たり前に頭が?になる。
青い服のボサボサが持ってるはずのバスケットボールが手から消えていたのだ。
確かに手が回避行動として少し動いたように見えたがボールはまだあるはずだ。
だが消えた…。
ボールは何処へ?
赤い服の男は体格のデカイ青い服のボサボサ男を見る。
「行っけぇ!!満(みつる)♪」
ボサボサ男はリンクを見て、軽く飛び右拳を突き上げガッツポーズをする。
驚愕し後ろを見る赤い服の男。
そこにはやる気の無かったはずの男がヒョイっとリンクにボールを入れていた。
「…ま、マジかよ…」
赤い服の男がパタンと床に座り込むのと同時にピーっと試合終了の審判委員の合図。
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