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「やった♪勝ったぜ!」
負けて敗北感たっぷりの男の頭上で親指を立て満(みつる)と呼ばれた未だやる気の無さそうな男にボサボサ男は言う。
「……はぁ、俺にパスすんなよ。疲れる」
嫌そうにボサボサ男に言いこちらへ歩いてくる。
床に座り込む男は頭上の二人を見る。
体格のガッチリした頭ボサボサ男はズレた眼鏡を直す。
直した眼鏡の奥は勝って嬉しそうに笑う。
対照的に違う反応の満と呼ばれた男はボサボサ男より頭一つ分低く華奢だ。
やはり嫌そうな顔でボサボサを見る。
「またお前俺を使ったな!」
勝ったのに怒る満。
「…勝ったのに嬉しくないのか?」
ボサボサ男が眉をハの字にして聞く。
二人に挟まれた形の赤い服の男もウンウンと同じ様に思って居た。
「勝ったのはチームとして嬉しいが、俺は色々と嬉しくない」
そう言って先程リンクに入れたボールをボサボサ男に投げつける。
オッとボールを受け取り頭を掻くボサボサ男。
苦笑いしながら…
「疲れるか?」
「疲れんだよ…」
息がピッタリな感じに満とボサボサはハモって言った。
笑ったボサボサは「やっぱり?」っと言う。
「そんなん言うなよ。上手いじゃんシュートさぁ~」
ハモった事に何か言いたげだったが…
言う機会を逃し。
「…狙えば出来るだろ。ってか、お前も上手いだろうに、俺は何もしなくて良いぐらい」
呆れた感じで言う満。
その話を嫌でも聞いてる忘れ去られた赤チームの男は何故か少し涙眼だったりする。
色々と不憫(ふびん)だった。
問答無用と言うかただ単に気付かない二人は話を続ける。
「…少しは参加しろや」
少しひきつった苦笑いでボサボサはボールを腹に抱く。
『否定しないんだ…』
更に何か不憫を感じてならない赤チームの男。
何かを諦めてイソイソめそめそとその場から出ようと二人の足下から出た。
「うわッ!何だ!?」
ようやく気付くボサボサ男。
満は何とも思わない表情で下からのそのそする赤チーム男を見る。
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