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え? 話し方違うって?
いや、決して好きでやってるわけじゃないからね?
命のために仕方なくなの!
まあ、取り敢えず順を追って説明するね。
俺らの通っているここは、《私立東宮学園高等部》。何を隠そう男子校である。
全寮制で頭の良い、山奥にあるお坊っちゃま学園。
腐のつく人はここを、《王道学園》と呼ぶ。
そして俺がこの学園に来た理由、そしてキャラが違う理由と言うのも、ここを"王道"と呼ぶ腐った人物――我が姉と、幼馴染みの所為である。
我が姉と幼馴染みは、腐女子と呼ばれる人物である。
***
「凪ぃいいぃいぃぃいい!!」
ガバッ
「うわっ、唯ねえ!」
中三の冬。いや、もうほとんど春に近い時期のことだった。
この、俺に抱き付いてきた茶髪ウェービーの美人。
これが姉、佐原 唯音―サハラ ユイネ―である。
「凪、ありがとう! 報告忘れないでね!」
いきなり抱き付いてきたと思ったら、顔をあげてそんなことを言い始めた唯ねえ。
「ちょ、唯ねえ?」
「それじゃあ早速だけど、今回の演技指導に入るわよ!」
「え、ちょ、唯ねえ?」
「やっぱり今は似非チャラ男親衛隊隊長総受けよね! それなら腐ってた方が良いのかしら……。
よしっ、それじゃあまずスプレー買いに行きましょう!!」
「あ、待っ……唯ねえぇぇぇ!?」
***
……強制、無理矢理でした。
受験シーズンに唯ねえに、
「ここで模擬テストみたいなのできるから、行ってきなさい!」
とかなんとか言われてやったのが、ここの受験テストだったらしい。
唯ねえは《crazy cats》っていう族の総長をやってて……。
力強いし殺気凄いし怒ると怖いし……。
正直、逆らったら死ぬ、マジで。
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