3/6
前へ
/41ページ
次へ
睡眠に見切りをつけた私は、同じく小さく電灯をつけて小説の続きを読むことにした。 それに気付いたのか、隣の席の人が私に目を向ける。 「すみません、起こしてしまいましたか。」 あまりに申し訳なさそうな声色で、一言でも注意したい気持ちが失せてしまう。 「いえ、大丈夫ですよ。小説の続きが気になってしまって。」 高校時代から読み倒している小説を少し持ち上げてそう言った。 相手の表情ははっきりとはうかがえないが、少し和らいだ気がする。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加