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最上階のベランダからは駅前がよく見渡せる。
いつもの慌ただしい人の流れも騒音もない。
朝陽が上りだすほんの少し前の時間。
鳥たちの声がよく響きわたり
空気が震えるように動き出す瞬間を感じることができる。
春は大気がまだ冷気の中にいて
夏は熱せられる手前のほんのひと時の大気を感じられる。
秋は夏の大気と冬の大気の間でほんのりと熱気を感じ
冬は凍るごとくの冷気の中にピンと張りつめた緊張を感じることができる。
七夕の前日、裸の上半身には夏の大気を感じることができる。
明日、十八になる。
シャワーを浴びて、冷蔵庫から牛乳をとりだした。
成長期の体には牛乳が一番。
母ちゃんの声が頭の中を巡りだす。
そういえば、最近顔を見てない。
今日の帰りにでも寄ろう。
家を出てから明日で一年になる。
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