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蘭香にはそのような痣について、静邦に教えてもらった覚えがあった。
しかし、どんなことだったかを全く覚えてないのだ。
ただ、あまりよくないような気がして恐ろしくなった。
「蘭香、どうしたの??」
桜波はすっかり黙ってしまった女童に呼びかけた。
「いえ、父から何か聞いていたような気がしまして…」
蘭香がそういうと桜波は驚いた様子で問いだした。
「静邦はこの痣のこと、何と言っていたの??」
「それが覚えていないのです。
…ただ……」
「ただ…??」
「あまりいい意味ではなかったような気が致します」
その場の空気が一気に凍り付く様を蘭香は目の当たりにした。
やはり、言わない方が良かった。
蘭香は周りの空気でそれを察した。
そんな中、桜波は1人口を開いた。
「その話を聞く限り、やはり、この子の方を…」
「そうだな、櫻子。
この子をあの奇妙な桜とともに白河の櫻山の別荘に移そう」
「奇妙な桜とはなんですか??忠治様」
「あぁ、この子らが産まれたと同時に咲いた紅い花びらの桜のことだ。
それも移した方が良かろう」
「そうですね、移しましょう」
二人子の両親は静邦の占いの通り、一人を白河の櫻山というところにある別荘に移すことを決意した。
その場について行くのは、発言に責任を持とうとした蘭香と乳母の桔梗、乳姉妹の菖蒲になった。
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