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「雅成はほんと、女人に興味ないよね…」
その言葉に驚いた人々も首を振って肯定した。
その姿に満足げになりながら、言葉を発した張本人…田村道行は笑っていた。
「櫻鬼姫っていうのはね、白河にある櫻山の鬼のことだよ」
「それと雪河原大納言の大君がどう関係しるんだ」
雅成には、何故かこの鬼のことが気になって仕方なかった。
「大君は産まれてすぐ櫻山に移り住み、そこで櫻鬼姫に襲われたらしいんだ。
櫻鬼姫を退治しに行っても見たら最後…喰われる。
そういう噂があるから、みな櫻鬼姫を見たことないんだけどね…」
そう道行は言って話し終えた。
他の男が怯えるふりをして話の雰囲気を盛り上げる。
しかし、雅成は怖いなど思わなかった。
誰も見たことないのに何故、そのような鬼など言う空想の世界でしかありえないようなものに怯えることができるのだろうか。
雪河原大納言の大君が亡くなったのも何かの病かもしれぬではないか。
なのに、何故そのように空想の世界を現実で起きたことと言えるのだろうか。
雅成には不思議で仕方なかった。
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