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「雅成が女人の素晴らしさに気づくのいつだろうか??」
と良和は雅成を見ながら、笑いかける。
「そんな考え、余計なお世話だ。
私は政略で出会えばいい」
「そんな考え、あり得ないよ…。
君は左大臣の嫡男なんだ。
いづれかは左大臣になれるんだ。
だったら、どんな女人でも、付き合える」
「父上だっていつ、左大臣から失脚するか分からない。
そんな栄光に頼る気はないし、もしそれで政略結婚すらできなくなったら、私は別に結婚しなくてもよい。
そう思うだけだ」
「君はなんでそうなんだ…」
良和がいつものように哀しげに嘆く姿を見ながら、雅成は席を立った。
「私めはここで帰らせていただきます。
今日は雨が降るらしい。
早く降る前に帰り、家でゆっくり雨音を楽しみたいから、失礼いたす」
そういう意味の歌を1つ歌い、その宴をやっていた屋敷から消えていった。
その姿を見ながら、良和たちは
「あの歌を歌う才を女人に向けたら、素晴らしいのにな…」
と嘆くのだった。
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