第二幕 出会い

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雅成はこの姫君を追いかけたかった。 しかし、足が動かないのだ。 この姫君を捕まえてはいけないような気がしてしまう。 桜吹雪のような姫君だ。 雅成はそう思えた。 人の心を鷲掴みにしておきながら、すっと消え去る。 掴みさせてはくれやしない。 雅成はなぜか、姫君の顔が、後ろ姿が、声が忘れられそうになかった。 そして、もう一度、もう一度、姫君の声を、顔を見たいと思ってしまった。 このように思うことでさえ、雅成にはなかった。 だから、この気持ちがどんな感情かなど全く分からなかった。 この感情の意味を知りたくて仕方なかった。 もう一度、姫君の声を聞けば分かるだろうか。 分かりたい。知りたい。 この感情も、姫君のことも…。 そう思い、雅成は姫君が消えていった屋敷へと近づいた。
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