黒球

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黒球(こくきゅう)の調査に向かった僕等は、この前の紅い斑点探しました。白鳥団長の言っていた事が本当なら黒球に何らかの変化があってもおかしくないと思ったからだ。だが、紅い斑点は探すまでもなく、ほんの数分で見つかった。それと同時に白鳥団長の助言が現実味を帯び始めた。 紅い斑点はこの間より、明らかに広がっていた。そして、白鳥団長の助言が更に現実味を帯びる事態が発生した。 黒球周辺地帯では生息するはずのない種類の進化生物(ノット)が生息していた。黒球周辺地帯は唯一進化生物の生息が少なく、地上では一番危険度が低い地帯だった。なのに今はまともに調査も出来ない。 白鳥団長の助言が本当なら今黒球は、その時の為に力を溜め、守りに入っているというべきだろう。というような事を考えていたら、進化生物(ノット)が僕等のまわりにウヨウヨと集まっていた。この前のように逃げることは出来ないだろう。たぶんここにいる全員が瞬殺だろうとおもった。死ぬことを覚悟した。そして、 『白鳥団長、黒球の調査結果‥‥本部に戻って団員に報せてやってください。』 そう言って、進化生物に立ち向かった。僕は自分が言ったことに驚いた。他人を生き残らせるために自分が犠牲(いけにえ)になるなんて死ぬまでないと思っていた。しかも、これが最初で最後だろう。と、右手には対進化生物用武具(刀)、左手にはレーザーガンを持ち、一番手前にいた進化生物に立ち向かった。正直、進化生物の情報も少なく弱点はわからなかった。だから、生物にはついているであろう関節や目を刀でぶったぎり、一時的に有利な立場のときにレーザーガンを片っ端から放ち、急所をさがすというような戦い方を繰り返した。だが、足止め出来たのはほんの数分だけだった。数が多すぎた。足が動かなくなってきた。腕が上がらなくなってきた。もう、限界が近づいていた。だいぶダメージを与えたと思っていた進化生物鋼のように硬い皮膚はノーダメージだった。 『絶望的だ。』自然に弱気な言葉がこぼれた。進化生物の一体がぼくを丸飲みし、刀を持っていた右腕だけ食いちぎられた。 僕は最後の悪足掻きにレーザーガンを乱発した。すると、弾は肉を貫き外の太陽(ひかり)が差し込んだ。それと同時に進化生物が声にあげ、砂漠にまるでダイブするように勢い良く倒れた。
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