第一章 事件〈ハジマリ〉

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ため息をついて、良平は椅子に倒れ込む。 机の横にある写真立て。 そこに並ぶ写真に目を向ける。 「葉月…… 」 そこには、二人の男女――おそらく兄弟だ――が、二人並んで写っている。 「あの日からもう7年、か……」 おそらく、そこに写っている少年は良平なのだろう。 わずかながらに面影がある。 「葉月……どこにいるんだ……? 」 しばらく眺めたあと、良平は写真から目をはなす。 写真に隠された真実に気がつかぬまま。 写真に写るもう一人の少女、白河葉月の面影が、先ほど『クエイカー』と名乗った少女にも、わずかながらあることに、良平は気がつかなかった。
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