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[東京・新宿]
ガヤガヤガヤ
と、野次馬が騒いでいる。
「すみません、ちょっととうしてもらえませんか? 」
人混みをかき分けながら、「いかにも新米です」という感じの刑事が現れる。
「遅いぞ、何やってたんだ!? 」
「すみません、警部。道に迷ってしまって……」
どうやらこの若い刑事は方向音痴のようだ。
「バカ野郎! 顔洗って出直してこい! 」
「はい! 」
そう言って、来た道を戻ろうとする刑事。
「……そういう意味ではない」
「? ならどういう意味ですか? 」
「……もういい。白河、持ち場に早くつけ」
「はい」
そして、彼は現場に向かおうとする。
「お、良平じゃねぇか。交替はお前か」
と、一人の刑事が彼に声をかける。
「あ、荒谷さん。お久しぶりです! 」
「確かに久しぶりだな」
荒谷はそう言った後、声を抑えて
「今回のホトケも見ねぇ方がいい。しばらく一人でトイレに行けなくなるぞ」
と、言って去っていった。
ちなみに、『ホトケ』というのは、所謂死体の事である。他にも、被害者の事を『ガイシャ』と呼んだりする。
まぁ、つまり、「ホトケを見ねぇ方が良い」というのは、死体が余りにもグロテスクだ、というわけだ。
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