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「うっ……」
あまりにも酷い死体――いや、これを死体と認めるのにも抵抗があるくらいだ――だった。
手足は切り裂かれ、身体の中心は、大きく陥没している。
首から上は、斬り飛ばされて、切り刻まれて、もはや原型をとどめていない。
だが、それだけではない。
「……これで4件目、ですか……」
そう、『全く同じ殺人』がすでに3件あったのだ。それも全て、この新宿で、である。
「今回の犯人〈ホシ〉は、よっぽど頭が狂っているみたいですね」
「まったく、おちおち酒も飲めねぇ」
「そうですね。それにしても酷い……って誰ですか!? 」
「あぁ、こういう者だ。ほれ、名紙」
名紙には、
『大平探偵事務所・所長 大平 隆之助』
と、書かれていた。
「……関係者以外立ち入り禁止ですよ? ここ」
「細かいことは気にするな。俺達は今、でっかい事件に行き合っているんだ」
「そうでしたね、すみません」
そう言って、立ち去ろうとする良平。
そして、
「って、誤魔化して許されると思っているんですか!? 」
後ろ向きに戻ってきて、言う。
「ハハハ、やっぱり誤魔化せんか……チッ」
「今さりげなく舌打ちしませんでした!? 」
「い~や? ナニモシテナイヨー」
「何故棒読み!? そして、早く出ていって下さい!! 」
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