第一章 事件〈ハジマリ〉

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「くそ…… 撒けたかな……? 」 その少女は、路地を駆けていた。 「待ちやがれ、『クエイカー』! 」 ガタイの良い男がそれを追う。 「クッ、しつこい……! 」 「『組織』から逃げようたって、そうはいかねぇゼ? さぁ、観念しやがれ! 」 「チッ」 クエイカーと呼ばれた少女は、角を曲がる。しかし…… 「しまった、行き止まり!? 」 どうやら、袋小路に迷い込んだようだ。 「ククク、追い付いたぜ…… さぁ、大人しく捕まりな! 」 「いや……よ!! 」 拳を前に突き出す。 到底届くはずのない距離だが、 「ガハッ!? 」 何故か男は吹き飛ぶ。 「ハァハァ、くそ……」 急いで袋小路から、クエイカーは脱け出す。 「いたぞ! クエイカーだ!! 」 「ッ! しまった、見つかった……」 大通りに向けて、彼女は走り出す。 そして、 「抜けた……! たすかっ……た」 力尽きて倒れる。 「おい、大丈夫か!? 」 誰かが、近寄ってきた。 早く逃げてくれ、という思いと、助かったという気持ちが心に浮かぶ。 「しっかりしろ、おい!! 」 その青年の声を聞きながら、クエイカーの意識はゆっくりと落ちていった。
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