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「くそ…… 撒けたかな……? 」
その少女は、路地を駆けていた。
「待ちやがれ、『クエイカー』! 」
ガタイの良い男がそれを追う。
「クッ、しつこい……! 」
「『組織』から逃げようたって、そうはいかねぇゼ? さぁ、観念しやがれ! 」
「チッ」
クエイカーと呼ばれた少女は、角を曲がる。しかし……
「しまった、行き止まり!? 」
どうやら、袋小路に迷い込んだようだ。
「ククク、追い付いたぜ…… さぁ、大人しく捕まりな! 」
「いや……よ!! 」
拳を前に突き出す。
到底届くはずのない距離だが、
「ガハッ!? 」
何故か男は吹き飛ぶ。
「ハァハァ、くそ……」
急いで袋小路から、クエイカーは脱け出す。
「いたぞ! クエイカーだ!! 」
「ッ! しまった、見つかった……」
大通りに向けて、彼女は走り出す。
そして、
「抜けた……! たすかっ……た」
力尽きて倒れる。
「おい、大丈夫か!? 」
誰かが、近寄ってきた。
早く逃げてくれ、という思いと、助かったという気持ちが心に浮かぶ。
「しっかりしろ、おい!! 」
その青年の声を聞きながら、クエイカーの意識はゆっくりと落ちていった。
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