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紅魔館、寝室区画
この辺り一帯は人気が全くと言っていい程に誰もいない。
このすぐ近くには魔法使い、パチュリー・ノーレッジが居候している図書館があるが、今そこに彼女はいない。
いるのは警備の傭兵が四人、皆が壁に寄りかかっている。
それも、明かりがあってもそれぞれの姿が砂粒程度にしか見えないぐらいに距離が離れている。
最早警備にすらなっていない。
季節外れの肝試しのようなものだ。
『赤の一二より赤の一四、聞こえるか。おい、寝てないだろうな。』
耳に当てたスピーカーが音割れを起こし、うつらうつらしていた瞼に力が入った。
「赤の一四より一二、お前の声がデカすぎて綺麗パッチリ目が覚めたよ。」
『おっと、そいつは悪かったなぁ。』
皮肉ったつもりだが、皮肉になっていないと気づいた。
『赤の一一より一四。罰ゲームだ、調理室まで走って全員分の水貰って来い。』
まぁいい。目覚ましにはなるだろう。
「分かりましたよ……」
明かりを持ち直し、組織から借りた装備をある程度置いて黄昏時に似た光景の館の中を走った。
結果、調理室まで二十分近く走り回る事になってしまった。
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