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ガイラス・シティ東外れの街バークスの通りを、一台の黒塗りのセダンが走っていた。
「………」
後部座席に足を組んで座るスコルピオのボス…ルカ・ベネディクトは苛立っていた。
ダークグレーのスリーピーススーツを纏った彼の表情にいつもの傲慢なまでの余裕はなく、眉間にはくっきりと皺が刻まれている。
ルカが腹を立てているのは、己自身に対してだった。
五年前にこのバークスにおける自治を勝ち取ってからも、コヨーテへの警戒を緩めた事はない。
コヨーテはこの街にスコルピオが誕生した時からの宿敵で、父親の仇でもある。
だが、ハーヴェイ・オールビーが逮捕されて以降、コヨーテは目に見えて勢力を衰退させていた。
ハーヴェイが未だ強い影響力を持っていたとしても、このままいずれ潰れて行くだろうと考えていた。
まさか、再びこんな大規模なテロを起こすとは…。
「…ちっ…」
ルカは小さく舌打ちして、長い息を吐き出した。
このまま野放しになどしておけないが、とはいえ下手に動く事も出来ない。
五年だ…五年かけてここまで来た。
我々がコヨーテを押さえ込んでいてこそ、バークスの自治は成り立つ。
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