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「…レオン…」
休憩スペースの入口、壁にもたれるようにしてレオンが立っていた。
「避けてなんか、…ないだろう」
アガットはレオンから目を反らして、呻くように言った。
声がかすかに震えていた。
アガットの傍に歩み寄ったレオンは窓ガラスに手をつき、強張ったその顔を見下ろした。
「だったら、…何で俺の目を見ない?」
「……っ」
落ち着いた口調で問われて、肩を揺らしたアガットが顔を上げる。
視線が交錯して、レオンはふっと息をつき微笑った。
「…やっと見たな」
呟いた彼はアガットの肩を抱き寄せて、その唇を塞いだ。
「…ん…っ」
重なった唇の隙間から息を漏らしたアガットが身をよじろうとするが、背に回されたレオンの腕がそれを許さない。
レオンの胸に手を押し当てたアガットの身体から力が抜けた。
絡み合った舌が淫らに濡れた音を立てる度、甘い陶酔に落ちてゆくようだった。
レオンは唇を触れ合わせたままで囁いた。
「キスには応えるのに、…何を怖がってる?」
「……っ!」
アガットは潤んだ瞳を揺らして、ただその顔を見つめ返した。
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