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降り止まぬ雨の中、ルカを乗せたセダンはスコルピオのカジノ…ヴィア・ラッテア前の駐車場に停車した。
傘を差した部下のケビンが後部ドアを開けると、ルカはゆっくりと車から下りた。
大きなシャンデリアが煌めく、全面ガラス張りのエントランスホールに足を踏み入れる。
カジノ場へ至る扉へ向かおうとしたその時だった。
ドガッ! ガシャアアンッ
爆音と共に扉が吹き飛び、エントランスホールを覆う全てのガラスが粉々に砕け散った。
「……っ!」
爆風で飛ばされたルカの身体は、雨に濡れたアスファルトに叩きつけられた。
「…く…うっ…!」
呻きながらどうにか身体を起こしたルカの、額と腹から鮮血が滴り落ちる。
腹部には、大きなガラス片がめり込むように突き刺さっていた。
「…ちっ…!」
激痛に顔を歪めてルカは舌打ちした。
下手に抜くのはまずい。
抜いた瞬間に大量出血を起こす危険がある。
ルカは溢れる血を押さえるように腹に手を当て、エントランスホールに目を走らせた。
原形を止めぬ程に破壊されたホールに、扉の下敷きになった血まみれのケビンが横たわっていた。
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