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「…ケニー?その怪我はどうした?」
「……っ!」
低く問う声が耳に届いて、キーファーとケニーは肩を揺らした。
同時に振り向いた二人の目に、怪訝な顔で立つルカの姿が飛び込んでくる。
歩み寄ろうとしたルカは、キーファーを見て足を止めた。
「…キーファー…」
「…ルカ…」
呟くように、互いに名を呼んだ二人の視線が交わった。
キーファーの瞳が揺らぎ涙が零れ落ちそうになった時、ケニーがその肩を掴んだ。
「…キーファー…。やっぱり、俺には無理だ…」
ルカの顔を見つめて、ケニーはぽつりと零した。
「…え…?」
「俺には出来ないっ!」
戸惑うような声を出したキーファーの肩を突き飛ばし、ケニーはマーカスに掴みかかった。
「……っ!?」
キーファーが尻餅をつくように床に倒れ、ケニーはマーカスの懐の銃を奪った。
「…ケニー!?」
「お前、何の真似だっ!」
周囲の人間が騒然とする中、マーカスが焦った顔で怒鳴った。
「こいつは、マーカス・オールビーだ!」
スライドを引いた銃をマーカスに向けて、ケニーが鋭く叫んだ。
「…貴様っ…!」
「やはり、コヨーテか!」
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