act.20

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マーカスが上擦った声を上げ、唸ったダリオとルカが険しい顔で銃を抜いた。  「…お前らの言いなりにはならない!」  「駄目だっケニー!そんな事をしたら、シンディーがっ…!」 吐き捨てるように言って引金に指を掛けたケニーに、立ち上がったキーファーが悲痛な声を上げる。  「…許してくれシンディー…!」 呻くように言ったケニーの頬を涙が伝った。   ガンッ ガンッ ケニーの銃から放たれた二発の弾丸が、マーカスの胸を撃ち抜いた。  「…馬…鹿め…」 ごふっと血を吐き出しながら、マーカスが笑った。 持ち上げたその右手に、彼は何かのスイッチらしきものを握っていた。  「…もう…遅い…」 震えるその親指が、スイッチを押した。 マーカスがどうっと床に倒れた瞬間、   ピッ 小さな電子音が響いた。 その場にいた全員が、一斉に音のした方に顔を向けた。 …ケニーだ。  「…まさか…」 呆然と漏らしたケニーが、自身のボタンシャツを引き裂くように開いた。  「……っ!」 誰もが、一様に息を飲んだ。 ケニーの肩から脇へ巻かれた包帯のその胸の真上に、デジタルタイマー表示付きの小さな装置と爆薬が張りついていた。
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