運命のトリガー…２

act.１

今日のショッピングセンターでの死者を合わせれば、一連のテロによる犠牲者は２００名を超える。

　「テロの規模は、五年前以上だ」

レオン同様険しい表情を浮かべたアガット・ニールズが、二人に歩み寄りながら息を吐いた。

黒いスーツに身を包んだその手には、コーヒーの入ったカップが三つ握られている。

脇腹と足の負傷から回復し勤務に復帰した彼が戻って来たのは、この特捜課だった。

本部に無断でアーチャー事件の捜査に加わったアガットに下された処分、…それが１３分署への再転属だった。

　「それは、俺も気になってた」

アガットから受け取ったカップのコーヒーを一口すすって、レオンが呟く。

五年前レオンやアガットが警察官となったばかりの頃、バークスでスコルピオと激しい抗争を繰り広げていたコヨーテが、ガイラス・シティ各地で相次ぐ爆弾テロを起こした。

スコルピオが当時のコヨーテのボス、ハーヴェイ・オールビーの身柄を警察に引き渡した事でテロは終息、コヨーテも勢力を衰えさせていたが…。

今回の一連のテロがコヨーテの犯行に間違いないとすれば、その規模は五年前のそれを遥かに凌ぐ。