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「なぁ、レオン」
レオンのシャツの袖を引いて、マックスが耳打ちするように小さく問うた。
「サラ、…恋人はいるのか?」
「…口説く気か?」
目を丸くしたレオンが小声で問い返す。
アガットもわずかに目を見張った。
「やめた方がいいと思うぞ…?」
レオンが眉を寄せて首を振る。
「何で?」
唇を尖らせるマックスに、レオンはふと真顔になった。
「サラは確かに美人だが、…性格はあの課長にそっくりだ」
声をひそめたレオンの言葉に、マックスの顔が引きつる。
「…冗談だよな?」
上擦った声で、マックスはすがるようにアガットを見た。
「いや。怒ると課長より恐い」
アガットは哀れむような目をして、マックスに首を振った。
「………」
マックスが一層顔を引きつらせた時、
「それは、…誰の事かしら?」
怒りを滲ませた声が聴こえ三人は肩を揺らした。
いつの間に傍に来たのか、サラが背後に仁王立ちしていた。
「いやいや、…冗談だ」
ほら…やっぱり課長より恐い。
思いながら、レオンはアガットの背に隠れようとする。
「もう!レオンはともかく、アガットまで何よ!」
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