耳を塞いで、なんにも聞きたくないの。

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はとりは自慢の兄だった。 容姿端麗、文武両道、有言実行、それらの言葉がピタリと当てはまるような兄だったものだから、 小中高とイベント毎にクラスメイトや学年問わず何かしら祝われていたし、バレンタインの時などことりが女子高生の集団からお兄さんにこれお願いします、と大量のチョコレートを押し付けられたこともある。 ただ、そんな兄の一つ困った点をあげるとするならば、とてつもなく女性にだらしないことだろう。 いつ見てもレベルの高そうな女を連れて歩くわりに、次の日には全く違う女と手を組んでいるのもいつものことだ。 曰く、ご飯をくれるから。 はとりには生活力というものがない。 だが、もし彼が男女数名と無人島に流れつけば、彼は何もせずとも生きていけるだけの顔と身体を持っていた。
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