耳を塞いで、なんにも聞きたくないの。

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「マコトちゃんって呼びなさい」 「お断りします」 兄と同じアーモンド型の目をすっと細めことりは真太郎が何か言うのも構わずに窓の外に目をやった。 今頃、兄は何をしているのだろうと物思いに耽り、物憂げに溜息を吐く。 あぁ、早く帰ってあの兄にお帰りなさいと言われたい。 今日は休みの日らしいから、きっとまたソファで寝てるのだろう。 私が居なくちゃ、風邪を引いてしまうかもしれない。 ことりは授業を受けながら、一刻も早く帰るために思案していた。 (兄さん電子レンジも使えないんだから…) 過保護な妹と、兄信者の歴代彼女たちが甲斐甲斐しく世話を焼いたお陰で、はとりは立派なダメ人間に着々と近付いている。
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