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にこりと微笑んだ総司さんに、きっと、真っ赤になっているであろうあたし。
「総司さん、なんかヘン………。」
何だか悔しくなって、そう云うと、総司さんにくすっと笑われた。
「失敬な。俺としちゃあ、これが普通。」
「あたしは今日が初めてなんだよ、その口調。」
何を云ってもするりと躱される気がしたから、もう拗ねる路線で行くことにした。
拗ねる路線は女の必殺技ダカラネ★
ーーーーーーけど、総司さんにはまるで通用しないみたいだった。
「では、元の口調の方が良いですか?本来の私より、こっちの私の方が好きだと?」
総司さんは力こそ抜いていたけど、あたしの背に手を回したままだったから、云いつつぐっとあたしを引き寄せて、鼻と鼻がくっ付きそうな位置で妖しく目を覗き込まれて、不覚にもくらっときてしまった………。
「う、…………そう云われる、と。」
弱りきって、総司さんの胸元にぺろっと凭れかかったけど、総司さんの方は完全に面白がってて逃がしてくれそうにない。
あたしは口を開こうとして、やっぱり恥ずかしくて俯いた。
「そう云われると?」
総司さんの心なしか弾んだ声が、あたしを追い詰める。
けど、その声も瞳も、総司さんの何もかもが愛おしくて堪らない。
そんな思いがあたしの口を開かせた。
「総司さんなら、どっちでも好き。」
今まで面白がっていた総司さんの顔が、急激に赤くなる。
ーーーーーーーうん、可愛い。
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