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すすすすす、と云う摺り足の音が急速に近付いて来た。
あたしが布団から跳ね起きるのと、部屋の襖が今にも壊れそうな勢いで開いて眩い月光と見知った人影が現れたのはほぼ同時だった。
暫し、沈黙が二人を包んだ。
その間、あたしの瞳は、総司さんの瞳に拘束されている。
先に沈黙を破ったのは総司さんだった。
「…………聞いて、いたでしょ?」
あたしは驚いて、肩を跳ね上げた。
「え……?」
「さっきの。」
……………何故、知られているのか。
総司さんは、まるであたしの心を読んだかのように、にやっと笑った。
「鈴。」
あたしは漸く気付いて、口元に手を遣った。
ーーーーーー鈴の音でばれたんだ。
でも、問題はそこじゃない。
あたしが聞いていたことがばれたとすると、あたしは総司さんの告白を一方的に受けてしまったことになる。
あたしも、返答しなければフェアじゃない。
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