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云うが早いか、流はぱっと立ち上がり服を脱ぎ始めた。
「姉貴、何してる。」
呻きに混じって、護が流に問う。
その間にも流は容赦なく服を脱ぎ捨てていき、流の真白い裸形が生まれていく。
「護が、あたしの寝起きを襲うから、着替えを恥らう時間もない訳よ。お分かり?」
流は手を止めない。
「だからってなあ。」
護は流の布団の上で赤くなって俯く。
「護ってさ、よくわかんない子よね。姉の寝起きを襲ってみたと思えば、同一人物の着替えに恥じらってみたり。」
流は早くも制服のリボンを結んでいる。
「姉貴が変なんだよ。」
「失礼な。別にいいじゃない。此の世でたった一人の全く同じ血が流れた姉弟よ。」
流は軽い口調だったが、酷く優しげな目で護を見つめて云った。
「まあ、そうだけど。」
護は気恥ずかしそうに、下を向いている。
「じゃあ、あたし、もう行くから。」
「あっ、おい。姉貴、朝飯は!?」
革鞄を肩に掛けて足を踏み出した流を、護は慌てて止めた。
「なんか、どっかで拾うわー」
しかし返って来たのは、ド適当な返事。
「くっそ、たまには良いこと云うかと思ったら…。姉貴なんて、マジで、拾った食いもんの中に毒物混入してて、あっさりと死ねば良いのに…」
持ち主を無くした部屋に残されたのは、酷い形相の護の恨めしげな言葉だった。
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