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何を隠そう、あたし、こと葉月 流は大の新選組ファンだ。
その、愚直なまでの信念と、強靭な剣客達の儚い散り際。
惹かれてやまない、憧れの存在。
まぁ、彼らが存在していたのは今から150年ちょいちょい前だけどね。
手の届かない、永遠の片想い、とでも云っておこうか。
「流だって、新選組に負けないくらい格好いいけどな。」
清羅が云ってくれた言葉に嬉しくなって、流はニカッと笑った。
「ありがと、ラーちゃん。」
でも、と流は続ける。
「でも、あたしなんかじゃ適わないんだ。こんな、甘っちょろい、平和ボケした世界で、あんなに己を貫ける人間が生まれる訳がないんだ。」
「私には、流も、己を貫いているように見えるが。」
清羅は至極真面目だ。
「うーん、まぁ、確かに、そこら辺にたむろしてキャーキャー騒いでるギャル的なのに比べたら、あたしの方が、そりゃ、強い信念を持ってるさ。」
でも、やっぱり、彼らには適わない。
「新選組、とか、所謂(いわゆる)幕末の志士って云うのはさ、なんて云うか、憧れって云うより、目標、みたいなものなんだよ。あたしにとっての。」
「目標?」
「そう。あたしの、あたしの中の大切な指針になってる訳サ。」
清羅は興味深そうに流を見つめる。
「い、嫌だァ!そんなに見つめないでよぅ!」
「や、そう云う意味で見てる訳じゃないし。」
流のオフザケに大真面目に返答してくる清羅の言葉は、刃渡り30㎝くらいの凶器となって、流のガラスのハートにずぶっと突き刺さった。
…ような気がした。
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