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「流がそんな顔をする必要はない。」
清羅がそう云いつつ、流の眉間をぐいぐい押した。
ーーーーーか、軽く痛いっ!!!
「分かった、分かったからっ!」
流はぴょんぴょんと飛び退って叫んだ。
でも、分かったって云いつつも、ねぇ。
やっぱりあたしの罪悪感は消えない。
清羅の家には、と云うか、清羅と清羅's母の間には確執と云うかなんっーか、まあそんな感じのものがある。
前に清羅が云っていた。
ーーー私は、己が存在し続ける限り、母を嫌い、怨み、憎み、ただ醜いものとしてしか此の世に存在を認めない、と。
清羅は、いい歳して恋愛に感ける(かまける)母親がどうしたって許せないらしい。
それを、何も知らなかったとはいえ、根掘り葉掘りそのお母さんの旧姓について聞くとか、マジで、あたしサイテーじゃん!?
「おい、ひょっとこ。」
流が一人で百面相をしていると、再び眉間に鋭い痛みと、両方の頬を無理矢理押し潰されている感覚。そして、目の前には面白がるような清羅の美しい顔。
「あひゃひほ、ひょっひょほひひゃへへふほは、はひはひはふはーはんへひょ!!!!」
流は必死で叫ぶが、清羅はただ笑うだけだ。
「悪い、何て云ってるか理解不能。」
ーーそんな爽やかな笑顔で云うなぁぁぁ!!!!!
流が一人、怒りともどかしさで悶絶していると、不意に清羅が笑みを消した。
「あ。」
その顔があんまりにも怖くて(だって無表情なんだもん!)、流もマヌケな声を上げる。
「へ。」
けど、清羅が次に発した言葉に、流は字の如く、飛び上がった。
「もう、一限始まる時間か?」
おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!
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