補佐官の休暇

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「これは、学長が調べさせたんですか?」 「いや。アレに、そんな指示を出したことは無いよ。」 「じゃあ、どうしてルースが?」 ギルド内部の機密を何故ルースが知ろうとする? 「アレの動く理由など、一つしかないだろう。」 そう言われて思い当たることは確かに一つだけだった。 シルファ=リード 今のルースが動く理由があるとするなら、それだろう。 確かに彼女の両親はあの事件に巻き込まれた被害者だ。 その後、保護された姉弟の行き先は…。 「そういう、ことですか…。」 “保護”ではない。 ギルドにも内通者がいることはわかっている。つまり…。 幼い姉弟は、捕らわれていた。 攫われた他の子供達と同様、いずれは実験台とするため…と考えるのが自然か。 それが、何らかの理由でルースに救われたのだとするなら、今の状況には説明がつく。 だが、なぜだ。 あの事件で攫われた子供は今も行方知れずのままだ。 おそらくは、犠牲となったのだろう。 なのに何故、彼女だけは無事だった? 魔力を持った子供こそが標的であったはずなのに。 ルースは…。 知っているのか。 全て把握したうえで動いている。 そうして、行き着いた。 人の道を外れた所業と、その禁忌に踏み込んだ者達の正体に。
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