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夜通し見張り番をするようになって3日目。
その間は、一度も姿を見せてはいないが、さすがにそろそろ餓えている頃だろう。
ザ…ッ!
微かな音に、男達がハッとする。
「あれか?」
夜の闇に紛れる黒い影。
男達は、緊張に息を呑み、ゆっくりとそれに近づく。
「な、なあ、待てって。」
「あ?っだよ。逃げられるだろ。」
「いや、今…。だって…。」
震えた声で一人が言った。
「…どこから…現れた…?」
「…あ?」
場所は開けた農園だが、さほど背の高い作物は無い。
死角になるような場所は無いにも関わらず、それは突如、そこに姿を現した。
まるで、闇から浮き上がるように…。
「ば、ばかなこと言うなよ。きっと、ほら、その辺から…。」
「こんな開けた場所で、こんなど真ん中入り込んできてんのに、気付かないわけねぇだろっ。」
「ばか、声がでけ…ッ。」
ザァ…ッ!
新月の暗闇。
生温かい風が吹く。
男達の声に振りかえった、それは…。
「…ッ。」
「ひ…っ?」
闇に浮かぶ、赤い瞳…。
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