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「くそー! なんなんだよこれはぁぁッ!」
すでに日が沈み、月明かりと街の街灯に照らされた道を、全力疾走する高校生『稲荷 神輝』(イナリ シンキ)は叫んだ。
ブレザーのボタンは外れ、ネクタイはブラブラと今にもほどけそうなほど緩んでいる。
我ながら情けない、と稲荷は心の中で呟くが、この状況で冷静にいる方が無理だろう
汗だくになりながら、振り向いた少年の目には、空に浮かぶ月を覆い隠す巨大な影が写る。
まるでSF映画にでも出てきそうな化け物が、屋根の上を猿のように跳び跳ねていた。
「死ぬ! オレ死ぬぅッ!」
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